挫折経験が思いつかない。予定どおりにいかなかった経験から振り返る
挫折は大事件でなくてよく、大事にしていた目標が予定どおりいかなかった食い違いを探します。目標・つまずき・判断・結果を書き、結果は盛らず未達のまま残して、今の行動まで一本の線でつなぎます。
面接やエントリーシートで「挫折した経験は?」と聞かれて、言葉に詰まる。大きな失敗をした覚えもないし、人生はそこそこ順調にきた。そう思うと、答える材料が本当にどこにもないように見えてくる。
挫折は、人生を揺るがす大事件のことではない。自分が大事にしていた何かが、予定どおりにいかなかった——その小さな食い違いのほうが、よほど語れる材料になる。この記事では、どのつまずきを選ぶかを決め、それを面接での答えと今の行動までつなげるところまでをやる。過去の失敗や苦労を振り返ることは、自分の特徴を考える材料になる[1]。
まず、挫折と「ただの不便」を分けておく
探し始める前に、ひとつ線を引きたい。嫌だった出来事のすべてが挫折なのではない。
雨の日に傘を忘れた、バイト先が急に忙しくなった、電車が止まって遅刻した。これらは不便ではあるけれど、挫折とは少し違う。嫌だったけれど、そこに手放したくない目標があったわけではないからだ。
探すときの手がかりは二つある。自分が大事にしていた目標があったこと。そして、それが思ったとおりにいかなかったこと。この二つがそろう場面を思い出すと、話は見つけやすい。
自分が手を動かした結果の失敗でなくてもいい。外からの事情で、大事にしていた目標が断たれた経験も入る。問いたいのは、そこに悔しさが残る目標があったかどうかだ。この手がかりで探すと、結果が地味でも中身は語れる。
目標・つまずき・判断・結果、の順で書き出す
ひとつ候補が浮かんだら、頭の中で完成させようとせず、紙に四つだけ分けて書く。
- 大事にしていた目標:何を、いつまでに、どうしたかったのか
- つまずき:どこで、何が予定どおりにいかなかったのか
- 自分の判断:つまずいたとき、何を考えて、どう動いたのか
- 結果:それで、目標に対してどこまで届いたのか
四つのうち、面接で一番聞かれて困るのは「判断」のところだ。うまくいかないと分かった瞬間に、投げ出したのか、別の手を試したのか、誰かに頼ったのか。そこにあなたのふるまいが出る。
例で一度やってみる
たとえば、こんなふうに書ける。
記入例 目標:2年の秋、軽音サークルのライブで、集客を前年の2倍にしたかった つまずき:SNSで告知しても反応が薄く、2週間前になって予約を見たら前年と同じくらいしかなかった 判断:そこから告知を増やしたり、過去に来てくれた人に一人ずつ声をかけたりと、思いつく手を試した 結果:当日の客は前年より少し増えた程度で、2倍には届かなかった
ここで大事なのは、結果の行をきれいに整えないことだ。「2倍には届かなかった」と、未達のまま残す。これを「結果的に成功しました」に書き換えたくなるが、そうすると次が崩れる。面接で「2倍を目指して、実際はどうでしたか」と一段踏み込まれたとき、盛った話には先の記憶がついてこない。深掘り質問は自分の回答から作っておけると前に書いたが、挫折の話ほど、届かなかった事実をそのまま置いておくほうが、どこを聞かれても同じ場所に戻れる。
「届かなかった」で止めず、今の行動まで続ける
未達のまま残すと言っても、話をそこで終える必要はない。四つの続きに、もう一つだけ足す。
今の自分は、あのとき何を持ち帰ったか。 さっきの例なら、「2週間前になってやっと予約状況を見たのでは、手を打つには遅かった、と思った。だから今は、何かを進めるときは早めに途中経過を確かめて、思わしくなければその時点で手を変えるようにしている」。
この一文があると、挫折の話が反省会で終わらない。届かなかった結果と、そこから変わった今の行動が、一本の線でつながる。面接で見られることが多いのは、失敗の大きさではなく、うまくいかなかったあとに何をする人なのか、のほうだ。
もし候補そのものが出てこないなら、立派な目標から探そうとしすぎているのかもしれない。力を入れたことを記録から探すのと同じで、挫折も、小さく悔しかった場面のほうに転がっている。思いどおりにいかなくて少しへこんだこと——その程度でいい。
おわりに
挫折経験を探す作業は、派手な失敗談を掘り出すことではなく、自分が何を大事にしていたかを確かめる作業だ。どうでもいいことは、うまくいかなくても悔しくない。悔しかったということは、そこに手放したくない目標があったということだ。
届かなかった結果を正直に残すのは、少し落ち着かない。でも、ちゃんと目指して、ちゃんと外した経験には、あなたが何を大事にして、どこでどう動いたかが残っている。それは、うまくいった話よりもあなたらしく語れる場所だ。
参考資料
- [1] 専修大学「自己分析」
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