面接冒頭の「自己紹介を」に、どこまで話すか
面接が始まって最初に来るのが「では、自己紹介をお願いします」という一言だ。ここで手が止まる人は多い。名前だけでは短すぎる気がして、かといって何を足せばいいのか分からない。用意してきた自己PRとガクチカを思い出し、勢いで全部話し始める——気づくと二分が経っていて、面接官が次の質問を出すタイミングを失っている。
まず押さえておきたいのは、冒頭の自己紹介と、途中で来る「自己PRをどうぞ」は別の質問だということ。両方を一度に求められていないのに合体させると、話が長くなるうえ、後で自己PRを聞かれたときに手札が尽きる。
自己紹介は「あなたの基本情報」を渡す場
自己紹介で相手が知りたいのは、これから話す相手が誰なのか、という基本の情報だ。大学名、学部、名前。ここに、会話の糸口になりそうなことを一つか二つ添える。所属しているゼミやサークル、力を入れている活動の「名前」くらいでいい。中身の掘り下げは、面接官が「それについて詳しく」と聞いてから話せばいい。
つまり自己紹介は、経歴の全貌を語る場ではなく、面接官が次の質問を選ぶための材料を渡す場だと考えるとちょうどいい。あなたが「サークルの代表をしていました」と一言置けば、興味を持った面接官がそこを掘る。掘られてから深く話す。この順番なら、聞かれてもいない成果を先回りして並べずに済む。
自己PRは「強み」を経験で裏づける場
一方、自己PRで求められているのは、あなたの強みと、それを裏づける経験だ。「粘り強さがあります」で終わらせず、どんな場面でそれを発揮したのかをセットで話す。ここが自己紹介との一番の違いで、自己紹介が「私は誰か」なら、自己PRは「私はこういう人間で、その根拠はこれです」になる。
だから冒頭の自己紹介で強みのエピソードまで語ってしまうと、いざ自己PRを聞かれたときに同じ話を繰り返すことになる。強みの話は、聞かれるまで取っておく。[1]
質問と時間の指定に合わせる
やっかいなのは、面接官の言い方が毎回同じではないこと。「簡単に自己紹介を」なら基本情報だけで足りるし、「自己紹介と、学生時代に力を入れたことを教えてください」と二つまとめて聞かれたら、そのときは自己紹介にガクチカを続ける。「一分ほどで」と時間を指定されたら、それに収まる分だけ話す。
決まった秒数や文字数を丸暗記するより、聞かれ方に合わせて伸縮できる状態にしておくほうが実戦で効く。核になる短い自己紹介を一つ持っておき、状況に応じて後ろに一段足す、という組み立てにすると崩れにくい。
記入例と準備メモ
短い自己紹介の記入例。
○○大学△△学部の[名前]と申します。大学では地域の子ども向けの学習支援サークルに所属していて、運営の取りまとめを担当しています。本日はよろしくお願いいたします。
これで十分に「誰か」は伝わるし、「運営の取りまとめ」に面接官が反応すれば、そこから会話が始まる。強みも成果もまだ言っていないが、それでいい。言っていないから、後で聞かれたときに話せる。
準備メモとして、手元に三行だけ用意しておく。
- 名乗り:大学・学部・名前
- 糸口:会話が広がりそうな所属や活動を一つ
- 二つ目に来られたとき用:ガクチカを一段落で言える形に
この三行を、志望企業ごとに書き換える必要はない。自己紹介の核はどの面接でもほぼ同じだから、一度作れば使い回せる。声に出して一度読んでみて、詰まらずに言えるかだけ確かめておく。[2]
おわりに
自己紹介は、面接という会話の最初の一言だ。開幕でこちらの持ち札を全部見せる必要はないし、見せてしまうと、そのあとの質問に返す手が減る。相手が知りたいのは、まだ「あなたが誰か」だけ。深い話は、相手が扉を開けてから出せばいい。全部を語り切ろうとする力みを一度手放すと、冒頭の数十秒はずいぶん楽になる。
参考資料
- リクナビ「面接での自己紹介」 https://job.rikunabi.com/contents/interview/3649/
こんなときに