面接は一人でも練習できる 録音して、一問だけ直す
面接の練習相手がいない、というのはよくある。友人と模擬面接をしようにも予定が合わないし、キャリアセンターの予約も埋まっている。仕方なく一人で声に出してみるものの、ひととおり話すと「まあ言えたかな」で終わってしまう。次にどこを直せばいいのかが、自分ではわからない。
一人練習が空回りするのは、話す自分と聞く自分が同時に働いているせいだ。話しながら自分を採点するのは難しい。だから練習を、話す作業と、見返して直す作業に分ける。間に一つ挟むだけでいい。録音(できれば録画)する。
まず一問だけ録音する
いきなり全部の質問を練習しない。一問でいい。「学生時代に力を入れたことは何ですか」でも「自己PRをお願いします」でも、いま一番不安な質問を選ぶ。意外と声色と態度に出る。
スマホのカメラを自分に向けて、面接官がいるつもりで一分ほど答える。台本を読み上げるのではなく、本番と同じように、詰まってもいいから最後まで話しきる。撮り直したくなるが、最初の一本目こそ本番に近い。とっておく。
話す様子を撮って見返す、という進め方は面接練習の案内でも鉄板だ。録画を見るのはたいてい気まずい。声が思ったより早口だったり、目が泳いでいたりする。その気まずさが、直す場所を教えてくれる。
見返すときは、直す点を一つだけ選ぶ
再生して、気になった点をいくつでもメモしていい。ただし、次に直すのは一つだけにする。
見るときの手がかりは、だいたい三つに分かれる。
- 中身: 最初の一文で質問に答えているか。「私が力を入れたのは〜です」と言えているか、それとも状況説明から始めて、結論が最後まで出てこないか。
- 話し方: どこで詰まったか、同じ言葉を繰り返していないか。「えーと」「なんか」が口ぐせになっていないか。
- 見た目: カメラ(面接官の目の位置)を見ているか。表情が固まっていないか。
三つ全部を一度に直そうとすると、次の一本でどれも中途半端になる。一番効きそうな一つを選ぶ。多くの場合、中身の「最初の一文」から手をつけると、話し方の詰まりも一緒に減る。答えの骨組みが決まっていないと、話しながら組み立てることになって、そこで詰まるからだ。
修正前後の例
たとえば「学生時代に力を入れたことは何ですか」への答え。
記入例(修正前):
えーと、私は大学のときに、カフェでアルバイトをしていて、最初は結構ミスも多かったんですけど、だんだん慣れてきて、それでお店の売上とかも気にするようになって…力を入れたのは、その、接客ですかね。
言いたいことは悪くない。ただ、「接客」という結論が最後に小さく出てくるので、聞いているほうは途中まで何の話か分からない。
直す点を「最初の一文で答える」に決めて、もう一度録音する。
記入例(修正後):
力を入れたのは、アルバイト先のカフェでの接客です。最初はミスが多かったのですが、お客さんの様子を見て動く順番を変えたら、待たせる時間が減りました。
中身はほとんど同じで、順番を変えただけだ。結論を先に置くと、そのあとのエピソードが理由として自然につながる。[1]ここまで整うと、面接官がどこを掘り下げてくるかも予想がつきやすい。フックを作って誘導する、に近い。[2]
もう一度話す、そこまでを一周にする
直す点を決めたら、その一点だけを意識して、同じ質問をもう一度録音する。見返して、直したかったところが変わっていれば一周終わり。まだ気になるなら、同じ点でもう一周してもいいし、次の気になる点に移ってもいい。
一問を「録音 → 見返して一点選ぶ → もう一度録音」で一周する。この一周を回すのが練習で、一本目を撮った時点ではまだ練習は始まっていない。何周やるべきかに決まった数はない。自分の答えを聞いて気まずくなくなったら、その質問はいったん置いていい。
練習メモは、あとで見返せる程度に軽くていい。
記入例:
質問:ガクチカ(カフェのバイト)
直した点:結論を最初の一文に出す
次に試す:「えーと」が多い → 一拍おいてから話し始める
録音は、おだてない練習相手
一人練習のいちばんの弱点は、間違いを指摘してくれる相手がいないことだと思われがちだ。でも録音した自分の声は、けっこう容赦なく間違いを指摘してくる。人間の練習相手なら気をつかって黙ってくれる早口も、繰り返す口ぐせも、再生すればそのまま返ってくる。おだててくれない代わりに、嘘もつかない。
面接の練習相手がいない期間は、自分の答えを他人の耳で聞き直す練習だと思えばいい。本番で面接官に見られる自分を、先に自分で見ておく。気まずいが、その気まずさは一本目だけのものだ。
参考資料
こんなときに